杜詩詳注 巻十
10 杜詩詳注と杜甫全詩訳注 巻十
《杜詩詳注》唐・杜甫著 清・仇兆鰲注 中華書局出版
《杜甫全詩訳注》下定正弘・松原明編 講談社学術出版
《杜少陵詩集》 鈴木虎雄譯解 國民文庫刊行會
杜詩詳注〔二〕・杜少陵集〔二〕・全詩訳注〔二〕 巻十
ID巻―順序 詩題 (巻数(冊?)ページ)編年詳注少陵訳注
1巻10-01漫成二首其一(頁七九七)761年797359301
2巻10-02漫成二首其二(頁七九八)761年798360303

3巻10-03春夜喜雨(卷一○(二)七九八)761年798361304
4巻10-04 春水(卷一○(二)七九九)761年799362305
5巻10-05 江亭(卷一○(二)八○○)761年800363306

6巻10-06 早起(卷一○(二)八○二)761年802364307


7巻10-07 落日(卷一○(二)八○二)761年802365308

8巻10-08 可惜(卷一○(二)八○三)761年803366309

9巻10-09 獨酌(卷一○(二)八〇四)761年804367310

10巻10-10 徐歩(卷一○(二)八○五)761年805368311

11巻10-11 寒食(卷一○(二)八○六)761年806370312

12巻10-12 石鏡(卷一○(二)八○六)761年806371313
13巻10-13 琴臺(卷一○(二)八○八)761年808372314
14巻10-14 春水生二首其一(頁八○九)761年809373315

15巻10-15春水生二首其二(頁八一○)761年810 316

16巻10-16 江上値水如海勢聊短述(卷一○(二)八一○)761年810375317
17巻10-17 水檻遣心二首其一(頁八一二)761年812377318
濯錦江のほとりの草堂で春の増水で海の水の勢いのように水がましてくる。聊かこの短篇を作った。上元二年春の作。
江上?水如海勢聊短述 杜甫 成都(4部)浣花渓の草堂(4 - 11) 杜甫 <416> 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2025
18巻10-18 水檻遣心二首其二(頁八一二)761年812 320
19巻10-19 江漲(卷一○(二)八一三)(同名之詩有二首)761年813378320

20巻10-20 朝雨(卷一○(二)八一四)761年814379322
21巻10-21 晩晴(卷一○(二)八一四)761年814381323
22巻10-22 高楠(卷一○(二)八一五)761年815382324
家の近くにおおきなクスノキがある。杜甫はこの場所が好きだったようだ。杜甫草堂の家を目指すのに遠くからの目標物となった大木である。
(高楠)
楠樹【なんじゅ】色 冥冥【めいめい】とし,江邊【こうへん】 一蓋【いちがい】青とす。
根を近くして藥圃【やくほ】を開き,葉に接りて茅亭【ぼうてい】を製す。
落景 猶合【ゆうごう】陰し,微風 韻して聽く可し。
尋常 醉【すいこん】を?ち,此に臥して片時【へんじ】醒【めざめ】る。
楠の大樹が鬱蒼と茂って大きな影を作る。濯錦江の川面の木の陰で蓋をするかのようである。
大樹の根の近くに薬草畑で菜園をする。楠の大樹の葉が我が草堂のカヤぶきの屋根の更に二重の屋根を作ってくれている。
雄飛のころになると家の影をさらにつつみこむだけの影を落としている。わずかな風がそよいでくると葉音が聞こえ、風化枝を抜けると音が和音として聞える。
まわりからするとこのわずかな広さの中で酔って乱れたりすることはないのだが、ここでしばらくの間横になり、暫くして目を覚ますひと時を過ごすのである。
23巻10-23 惡樹(卷一○(二)八一六)761年816383325
(惡樹)
獨り?【むな】しく齋裡【さいり】を繞り,常に小さき斧柯【ふか】を持つ。
幽陰【ゆういん】頗雜【はざつ】を成し,惡木【あき】還た多きを翦【せん】す。
枸杞【くこ】因に吾に有し,?棲【けいせい】奈【いかに】に汝に何【いかん】んせん?
方に材者にあらざるを知り,長に生きて漫【そぞろ】に婆娑【ばさ】とす。
(悪くなった習慣枝葉のように広がる)
訪れる客もなくひとり空しく書斎の中を行ったり来たり回っている。常に持っているのは荘子のまでで斧をうまく使った郢斧のように詩文を作り、あるいは直したりしている。
隠棲して静かにしていると何事にも大雑把になって來るし、欠点や図牡ボラで困ったことが多くなって、悪い枝が育ってきたようで剪定をしなければいけないようだ。
クコは私にとっていい薬となってやくだっているし、にわとりをかっているがこれをどうしようか、鶏、お前はどうされたいのか。
こうしてみるとこの私はよくよく才能にかけているということなのだろう。まあ、長生きをして段々年を取って自然にしおれていく人生もよいのではないだろうか。
24巻10-24江畔獨歩尋花七絶句其一(卷一○(二)頁八一六)761年 816 384 326
25巻10-25江畔獨歩尋花七絶句其二(卷一○(二)頁八一七)761年817 327
26巻10-26江畔獨歩尋花七絶句其三(卷一○(二)頁八一七)761年817 328
27巻10-27江畔獨歩尋花七絶句其四(卷一○(二)頁八一八)761年818 329
28巻10-28江畔獨歩尋花七絶句其五(卷一○(二)頁八一八)761年818 330
29巻10-29江畔獨歩尋花七絶句其六(卷一○(二)頁八一八)761年818 331
30巻10-30江畔獨歩尋花七絶句其七(卷一○(二)頁八一九)761年819 332
31巻10-31 進艇(卷一○(二)八一九)761年819389332
32巻10-32 一室(卷一○(二)八二○)761年820390334
33巻10-33 所思(卷一○(二)八二一)761年821392335
34巻10-34 聞斛斯六官未歸(卷一○(二)八二三)761年823393336
35巻10-35 赴青城縣出成都寄陶王二少尹(卷一○(二)八二四)761年824395338
36巻10-36 野望因過王少仙(卷一○(二)八二五)761年825396339
37巻10-37 丈人山(卷一○(二)八二六)761年826397340
38巻10-38 寄杜位(卷一○(二)八二七)761年827399341
39巻10-39 送裴五赴東川(卷一○(二)八二八)761年828400343
40巻10-40 送韓十四江東省覲(卷一○(二)八二九)761年829401344
41巻10-41 楠樹為風雨所拔歎(卷一○(二)八三○)761年830403345
・上元2年 761年3月、大燕皇帝を称した史思明は息子の史朝義に殺される。攻撃のチャンスなのに、
王朝側も体制が整わず、討伐できない状態である。
・同年の4月、梓州:四川省三台県)の刺史段子璋が叛乱、剣南東川節度使を追い払って独立宣言を
する。剣南西川節度使・成都尹の崔光遠は武将の花敬定を討伐に差し向け、段子璋の叛乱を鎮める。
・同年の6月、その花敬定が現地で略奪を働き、東川地域は乱れる。
・この間、杜甫は年の初めに新津で遊び(成都3部)、春は浣花渓で過ごし、多くの律詩を残している。
又杜甫には珍しい絶句シリーズを始めた(成都4部)。
夏になって、ふたたび、蜀州新津から青城縣を訪れ 秋になって浣花渓草堂に帰宅して間もなく、暴風雨に
襲われている。
42巻10-42 茅屋為秋風所破歌(卷一○(二)八三一)761年831405348
43巻10-43 石笋行(卷一○(二)八三三)761年833408351
44巻10-44 石犀行(卷一○(二)八三五)761年835410353
45巻10-45 杜鵑行(卷一○(二)八三七) 837413356
46巻10-46 逢唐興劉主簿弟(卷一○(二)八三九)761年839416358
47巻10-47 敬簡王明府(卷一○(二)八四○)761年840417359
48巻10-48 重簡王明府(卷一○(二)八四一)761年841419361
「人生百年、百憂あり」という中国の考え方、これは何も百年生きるのが当たり前というのではない。60歳を越えれば百歳という詩的表現である。
この詩は、彼の貧乏、病気がちなことを歎いたり悲しんだりしているのではない。今この時を愉しもうとしていることには間違いない。
自分は小さい時はよく勉強したが、子供らは勉強しない。しかし、子供に対してうるさくは言いはしない。妻と子供に暖かい目を以てこの詩をのべているのである。多くの本で「百憂」ということで人生を悲観してこの詩を書いたとするものがあるが、それは杜甫と詩とを理解していない。朝廷の事、天子を支える家臣の現状、地方官など、その至る所での腐敗、頽廃、そして、腐敗隠しの、叛乱、藩鎮制度の崩壊、府兵制度の崩壊、駅亭制度の事実上の崩壊・・・・・・十年近くも続いた安史の乱、、、の「無知」というものである。
「百憂」の年の情勢(新唐書より)
・ 二年(761)正月甲寅、降死罪、流以下原之。乙卯、劉展が処刑された。
・ 二月己未、奴剌・党項羌が宝?を寇し、大散関を焚き、鳳州を寇し、刺史の蕭?がここに死に、鳳翔尹の李鼎がこれを破った。戊寅、李光弼が史思明と北?で戦い、敗れた。史思明が河陽を陥落させた。癸未、李揆を左遷して袁州長史とした。河中節度使の蕭華が中書侍郎・同中書門下平章事となった。乙酉、来?が史思明と魯山で戦い、これを破った。
・ 三月甲午、史朝義が陜州を寇し、神策軍節度使の衛伯玉がこれを破った。戊戌、史朝義がその父の史思明を弑した。李光弼が副元帥を辞任した。
・ 四月己未、吏部侍郎の裴遵慶が黄門侍郎・同中書門下平章事となった。乙亥、青密節度使の尚衡が史朝義と戦い、これを破った。丁丑、??節度使の能元皓がまたこれを破った。壬午、剣南東川節度兵馬使の段子璋がそむき、綿州を陥落させ、遂州刺史の嗣?王李巨がここに死に、節度使の李奐が成都に逃れた。
・ 五月甲午、史朝義の将の令狐彰が滑州をもって降った。戊戌、平盧軍節度使の侯希逸が史朝義と幽州で戦い、これを破った。庚子、李光弼が河南道副元帥となった。剣南節度使の崔光遠が東川を落とし、段子璋が処刑された。
・ 七月癸未朔、日食があった。
八月辛巳、殿中監の李国貞が朔方・鎮西・北庭・興平・陳鄭・河中節度使を都統した。
・ 九月壬寅、大赦し、「乾元大聖光天文武孝感」の号を去り、「上元」の号を去り、寶應元年を称し、十一月を歳首とし、月以斗所建辰為名。文武の官に階・勲・爵を賜り、版授侍老官、先授者?進之。停四京号。
・ 元年建子月癸巳、曹州刺史の常休明が史朝義の将の薛?と戦い、これを破った。己亥、朝聖皇天帝于西内。丙午、衛伯玉が史朝義と永寧で戦い、これを破った。己酉、太清宮で朝献した。庚戌、太廟および元献皇后廟で朝享した。
・ 建丑月辛亥、有事于南郊。己未、来?が史朝義と汝州で戦い、これを破った。乙亥、侯希逸が史朝義の将の李懐仙と范陽で戦い、これを破った。
49巻10-49 百憂集行(卷一○(二)八四二)761年842420362
50巻10-50 徐卿二子歌(卷一○(二)八四三)761年843423364
51巻10-51 戲作花卿歌(卷一○(二)八四四)761年844424365
52巻10-52 贈花卿(卷一○(二)八四六)761年846426367
少 年 行
・少年を題材にしたものは盛唐の詩人の間
で流行っていたのだろう。杜甫も最初二首
詠い、しばらくして、この一首詠っている。
どの詩人も貴族の親に向けて、批判はでき
ないが、その息子らの破廉恥な様子を詠う
ことにより、貴族社会を批判している。
・貴族の子弟が酒屋において傲慢に酒を
貪ったさまをうたう。(762)宝応元年、杜甫
51歳の成都での作品。李白や、王維の同
名の作品は楽府、音楽に合わせて歌うよう
に詩を読むものであるが、杜甫のこの詩は
七言絶句の形式の歌行である。同種の
『貧孝行』がある。 |
 |
53巻10-53 少年行二首其一(卷一○(二)頁八四八) 848427368
54巻10-54少年行二首其二(卷一○(二)頁八四九) 849 369
55巻10-55 贈虞十五司馬(卷一○(二)八四九)761年849429370
56巻10-56 病柏(卷一○(二)八五一)761年851431372
57巻10-57 病橘(卷一○(二)八五三)761年852433374
58巻10-58 枯稷(卷一○(二)八五五)761年855436376
59巻10-59 枯楠(卷一○(二)八五六)761年856438377
60巻10-60 不見(卷一○(二)八五八)761年858440379
61巻10-61 草堂即事(卷一○(二)八六○)761年860441380
62巻10-62 徐九少尹見過(卷一○(二)八六一)761年861442381
63巻10-63 范二員外邀呉十侍御郁特枉駕闕展待聊寄此作(卷一○(二)八六二)761年862444382
64巻10-64 王十七侍御?許攜酒至草堂奉寄此詩便請邀高三十五使君同到(卷一○(二)八六三)761年863445383
65巻10-65 王竟攜酒高亦同過共用寒字(卷一○(二)八六四)761年864447386
66巻10-66 陪李七司馬p江上觀造竹橋即日成往來之人免冬寒入水聊題短作簡李公(卷一○(二)八六五)761年865448387
67巻10-67 觀作橋成月夜舟中有述還呈李司馬(卷一○(二)八六六)761年866450389
68巻10-68 李司馬橋成承(一無承字)高使君自成都回(卷一○(二)八六六)761年866451391
69巻10-69 入奏行贈西山檢察使竇侍御(卷一○(二)八六七)762年867453392
70巻10-70 得廣州張判官叔卿書使還以詩代意(卷一○(二)八七一)762年871457396
71巻10-71 魏十四侍御就敝廬相別(卷一○(二)八七一)762年871459398
72巻10-72 贈別何邑(卷一○(二)八七二)762年872460399
73巻10-73 絶句(卷一○(二)八七三)762年873461401
74巻10-74 贈別鄭錬赴襄陽(卷一○(二)八七四)762年874462402
75巻10-75 重贈鄭錬絶句(卷一○(二)八七五)762年875463403

76巻10-76 江頭五詠 丁香(頁八七六)762年876464404
チョウジの花のつぼみ。漢方で健胃・駆風薬などに用いる。クローブは、フトモモ科の植物チョウジノキの開花前の花蕾を乾燥させた香辛料の名。 原産地はインドネシアのモルッカ群島。日本では漢名に従って丁子、丁字、丁香とも呼ばれる。
77巻10-77 江頭五詠 麗春(頁八七七)762年877466405
78巻10-78 江頭五詠 梔子(頁八七七)762年877467406
クチナシ(梔子、巵子、支子、学名: Gardenia jasminoides)は、アカネ科クチナシ属の常緑低木である。野生では森林の低木として自生するが、むしろ園芸用として栽培されることが多い。乾燥果実は、生薬・漢方薬の原料(山梔子・梔子)となることをはじめ、様々な利用がある。
79巻10-79 江頭五詠 鶏勅(頁八七八)762年878468408
「??(けいちょく)」は、鳥の名。鴛鴦(おしどり)。または鴛鴦に似た鳥。
80巻10-80 江頭五詠 花鴨(頁八七九)762年879469409
ミズアオイ科の抽水性一年草,薬用植物.又名雨久花、鴨仔草、水玉簪、田芋仔、鴨嘴菜、鴨兒嘴、豬兒菜、豬耳?、鴨舌、水葵、小水?、斛菜,是一?雨久花科植物。
81巻10-81 野望(卷一○(二)八八○)762年880470410
82巻10-82 畏人(卷一○(二)八八一)762年881471412
83巻10-83 屏跡三首其一(卷一○(二)頁八八二)762年882472413
84巻10-84 屏跡三首其二(卷一○(二)頁八八二)762年882473414
85巻10-85 屏跡三首其三(卷一○(二)頁八八三)762年883475415
86巻10-86 少年行(卷一○(二)八八四)762年884476416
87巻10-87 即事(卷一○(二)八八四)762年884476417
88巻10-88 奉酬嚴公寄題野亭之作(卷一○(二)八八六)762年886477418